Snow is falling
風月 藍




「寒いと思ったら…雪がふてたんだ」
 朝の冷気に目覚めたアルルはきらきらと輝く新雪に目を細めた。
「よしっ」
 バババッと着替えて、アルルは素早く朝食の準備を始めた。
「ごちそうさまー」
「ぐー」
 ご飯を終えて皿を洗うと、ふわふわのミトンにカーバンクル型の耳あてをしてアルルは元気よく外に飛び出した。
「さぁ、かーくんっいこう!」

    ☆†★†☆†★†☆†★†☆†★†☆

「寒いわねぇー」
 いつもの露出的な格好とは違うシックな黒コートと羽毛のマフラーをつけたルルーが街を歩いていた。
「ミノ!早くしなさい!!」
 ルルーの後ろでいつもの姿に革のベストが追加されたミノタウロスが大きな荷物を持って歩いていた。
「今日はサタン様をお招きするんですからね!」
(恋人たちのクリスマスイブ。サタン様と二人でディナー。デザートには私が作ったケーキ。
 『すばらしい味だよ、ルルー!すごいなっ』とか言って下さって、『いいお嫁さんになるぞ』とか言われて『サタン様となら…』とか言っちゃったりしてーvv!!!)
「キャーーーーーーーーvv!!」
 バキバキバキッ
 妄想がめぐりにめぐったルルーは顔を赤らめ辺りの木々をなぎ倒していった。
「…ル、ルルー様…」
 そのさまに冷汗を流してミノは、またかっと思っていた。
「あっ」
 なんとかルルーの暴走を止めようとしていたミノはルルーに向かって飛来するものを見つけて、慌てて走った。
 パシャッ
「へ?」
 ミノの手が雪を弾いた時、ルルーはちょうどその音に現実に引き戻された。どうやら今回はあまり深く入りこんでなかったようだった。
「ごめんなさーい」
 パタパタと子供たちが走ってきた。どの子もみんな雪まみれのところを見ると雪合戦でもしていたのだろう。
「こんな人が通るところで雪合戦は危ないぞ」
 ぽんっと子供の頭に手をいて、ミノはやさしく注意した。
「はーい。
 ねぇ、みんなー、森に行こ〜」
 子供はミノにうなずき、他の子たちに呼びかけて走り出した。

「子供は元気ねー」
 そんな子供たちの後姿を眺めて微笑ましく思いながらルルーが呟くと、「そうですねぇ」と荷物を持ち直したミノが穏やかにうなずいた。
「さっ、戻るわよ」
「はい」

    ☆†★†☆†★†☆†★†☆†★†☆

「ぐー!」「わっ」
 パシャッ
 カーバンクルが投げた雪玉を木の陰で防ぎアルルは投げ返す。
「えいっ」
「ぐーぐー」
 余裕余裕とアルルの雪玉をよけて、カーバンクルはさっと回り込む。
「あっ」
「ぐーっ」
 パシャンッ
 見事雪玉はアルルの顔に命中。
「ぐーぐー☆」
 カーバンクルは踊りながらそれを喜んだ。その中、アルルは顔の雪を払いのけ、かがみこむ。
「やったなぁ〜」
 手当たり次第に雪をつかむと思い切り投げつける。
「ぐー」「ぐっ」「ぐぐっ」「ぐっぐぅっ」
 カーバンクルはさささっとうまく雪をよけていた。けど、「ぐーっ!」段々とスピードが上がってきてついにはカーバンクルに雪がヒットしたのであった。
「それそれっ」
 パシャパシャ…と、どんどん当たる雪はずんずんカーバンクルにつもり、最終的にはカーバンクルが見事に埋まってしまったのであった。
 チーンッ…なぁ〜む〜(違)
「あははっ…」
 埋もれたカーバンクルをアルルが笑っていると、ズボッと雪の塊から出てきたカーバンクルがシュパパッ…とアルルに連射をする。
「ぐぅーーーーーーーー!!」
「うわっ」
 そっちがその気ならっ、とアルルも応戦し、アルルとカーバンクルのタイマン雪合戦は白熱していった。

    ☆†★†☆†★†☆†★†☆†★†☆

 ザクッザクッ
 ドア付近の雪をスコップで退かしていたラグナスに店の窓から声がかかった。
「ラグナスさん、お茶入りましたよ」
「ああ、今行く」

「わざわざ、すみませんね」
「いや、別にかまわないさ」
 温かな湯気と一緒に立ち上る香りを楽しみながら、ラグナスは菓子を持ってくるウィッチに笑い返した。
「こっちも大方終わったよ」
 裏口から寒い寒いと連呼しつつ入ってきたドラコがシッポを抱きかかえながらストーブにあたる。
「ドラコさんもありがとうございます」
 そう言ってドラコにはココアを差し出した。
「にしても自分の店だってのに全部人にやらせるなんてねぇ」
 ドラコはココアを飲みつつそう言うと、ホホホ…と笑ってウィッチは明後日の方向を見た。
 まぁ、ドラコにしてみれば、顔出しに来ただけなのにいきなり雪かきをやらされたのだから、文句もあるだろう。
「薬の調合とかがありまして…」
 手が離せなかったんですよ、などとウィッチは言ったが実はただ単に外に出たくないだけだったりする。
 ドラコはふーんと呟きつつそれを見抜いてジトーとウィッチを見つめていた。
「まぁ、いいじゃないか」
 こうして、食べ物なんかもだしてくれてんだし。とラグナスが紅茶を飲みつつなだめる。ドラコはそれに肩をすくめて、ジンジャークッキーをつまむ。

「そういやさ、今年はパーティーどうなってんの?」
「明日開くみたいですわよ。大まかな下準備にサタン様も忙しそうでしたし」
 ウィッチは自分の分の紅茶を注ぎながらドラコの疑問に答えた。



分けてみたので続くのです


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