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ぼんやりと周りが見える。 「あっ、起きた?」 高い女の声が聞こえたのでそっちを見る。 ちょっと離れた場所に亜麻色の髪と金の瞳、女とゆうよりはガキといったほうがいいやつがいた。 「アルル?」 俺はそいつの名前を呼んだ。 そいつの名前はアルル・ナジャ。 魔導師の卵で内に強大な力を秘めている。 俺はその力を奪おうと何度も勝負を挑んだ。…まぁ、結局はまだ奪えてないが。 「おーい」 アルルが俺の前で手を振っている。 ボーとしていたから寝ぼけているとでも思ったのだろう。 「シェゾぉ」 返答をしないもんだから、アルルが俺の名前を呼び、何度も手を振る。 俺はシェゾ・ウィグィィ。「神を汚す華やかなる者」という意味を俺の名は持つ。 「何でお前がここにいるんだ?」 俺はアルルの手を軽く払って、言った。 ここはサタンの塔の図書室だ。こいつがいるのは珍しすぎる。 「何だよ。 ……へ?だって、今日はここで年越しパーティーだよ。 やっぱ楽しく過ごしたいしね」 俺に手を払われた事の文句を言いながら、アルルはそう言った。 年越しパーティー?そういや、そんな事を言ってたな。 俺は金の角を持った緑の髪の男を思い浮かべながら思った。 「シェゾは? なんか寝てたけど、パーティーにきたの?」 「いや、ここの書物を見に来ただけだ。だいたい、騒がしいのはごめんだ」 そうだ、ここにある珍しい魔導書を読んでいたら、いつの間にか眠っちまったんだ。 「ふ〜ん。まっ、ボクも涼みにでてきたんだけどね。 さてっと、からだも冷たくなってきたし、戻ろっと。 シェゾもおいでよ。たまにはみんなでさわごうよ」 アルルは何かを思い出したのか、笑いながらオレに言った。 そして、オレの返事を聞かずに腕をつかんで扉へと歩いていく。 「なっ……こらっ……ちょとまって!」 オレは人の言う事を聞いてないアルルに抗議の声を上げたがアルルはまったくの無視。 オレの腕を掴んでいるアルルを振りほどいた時にはすでにそこはパーティーの会場だった。 会場はがやがやと騒がしく、そこら辺に酔っ払いがいた。 「さっきより、ひどくなってる」 アルルは呆れたといった感じの声で言った。 まあ、アルルといつも一緒にいる黄色いの――カーバンクル――はいつものようにそこら中の食べ物を食ってるし。 そこら辺に酔っ払いが何人か倒れてるんだから呆れたくもなるわな。 「……なんか、すごい事になちゃってるなぁ」 「確かに……だから、オレは来たくないんだ。たいていはこうなるんだからな」 「…………」 何か、思い当たる事があるのだろう。アルルは微妙に目を泳がせながら黙った。 「…………昔ね、ちっちゃい頃、家でね、初日の出みたんだ。 朝早くに起こしてもらって、お父さんたちと一緒に見たんだ。 その後ね、お母さんとおばあちゃんの作った料理でお祝いしたんだ。 こんな風に、いっぱいの人とかでさわぐわけじゃないけど、楽しかったなぁ」 突然言い出した、アルルを見ると、アルルは懐かしそうにつぶやいていた。 こいつの家族は確か遠くのほうにいるんだったか。 まっ、普通は懐かしいわな。 …………………… 「……おい」 ちょっとした事を思いオレはアルルに声をかけて肩を掴んだ。 「えっ!?」 いきなり、肩をつかまれた事と周りの風景が変わった事に驚きの声を上げるアルル。 今、オレたちがいるのはサタンの塔ではなく。見晴らしのいい高原だ。 「なにしたの?」 オレはアルルの肩から手を放すとアルルはオレのほうを向いて聞いてきた。 俺は手を東のほうへと向けると一言だけ言った。 「初日の出」 「え?」 アルルが不思議そうにオレの指を追いかける。 「わぁ……!!」 アルルは歓声の声を上げた。 空が少し白み始めて、太陽のかけらが見えてきた。 「あっ……!!」 太陽から上の空へとだんだん顔をずらしていたアルルが驚きの声をあげる。 なんだ?と思いつつ、アルルが向いているほうを見る。 「……………………」 声がでなかった。 そこはちょうど朝の青空と夜の星空の境になっていた。 境の空は青の光が太陽のほうから少しずつ濃くなっていき、星がだんだん増えていく星空へとなっていく。 境の場所は明かりの所為かほとんど星が無い。奥のほうに行くごとに星が増えていっていた。 朝と夜という境が同じ時間の中にあった。 まるで、俺とアルルのようだな、とオレは思った。 他人のおせっかいを焼いたりと闇があまりにも似合わない光のようなアルル、「闇の魔導師」のオレ。 あの空の夜と朝ように、あわさらないようで一緒に存在する。 「そうだ!」 アルルが何かを思い付いたかのように声を上げる。 俺がアルルのほうを向くとアルルは笑いながら言った。 「シェゾ、あけましておめでとう!」 「ああ」 俺は突然の事なのでうなずいてそう言っただけだった。 だが、ちょっとして言ってやった。 「今年はお前(の魔導力)を手に入れるからな」 オレの言葉にアルルは「はぁ〜」とため息をついた。 なんだよ。 「あいかわらずのヘンタイ……」 「誰が変態だ!誰が!」 オレは思わず、怒鳴る。 「キミ以外いないじゃん」 アルルはさら、と言う。 「てめぇ、新年早々、勝負するかぁ」 怒りを込めた声で言いながら、オレは闇の剣を呼ぼうとする。 「やめとく」 がくっと足の力が抜けそうになる。 ここでそう言うかぁ。 「だって、キミが倒れたらボク帰れなくなっちゃうもん」 すでに勝つ気でいるのか、アルルはそう言った。 そういや、その手があったか。いまからでも、置いていくか。 「ちょっと、今ヘンな事考えてたでしょ」 俺がまじめにアルルを置いていく事を考えているとアルルはオレの腕を掴みながら言った。 ちっ、気がついたか。 「別に……」 「考えてたんだね。油断もあったもんじゃない」 「……戻るぞ」 俺はそう言った。 アルルがカーバンクルを連れて帰ると言っていたので、アルルの家ではなく、サタンの塔に戻った。 サタンの塔を出てからはそれほどたったわけではないのに何故かパーティーの会場には酔っ払いがそこら中に転がっていた。 その中で満足そうに寝ているカーバンクルを見つけるとアルルはさっさと帰った。 次の日……あの年越しパーティーの次の日だぞ。つまり、元旦の次の日。 町はとっても静かだった。 町の連中もパーティーに居たんだから、オレには予想通りだった。 いまごろ、町の連中の大半は二日酔いで寝込んでいるだろう。それと、パーティーを開いたバカ魔王たちも。 たく、新年早々何をしてやがんだか。 おわり |