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亜麻色の髪をした金の瞳の女の子と黄色いウサギのような動物が道を歩いている。 女の子の名前はアルル・ナジャ。魔導師の卵。 黄色いのはカーバンクル。チャームポイントは額?の赤い石、ルベル・クラク。 「寒い〜。 ……でもこの感じだと雪が降りそうだね。ねっ、カーくん」 「ぐう!」 季節は冬、そして今日はクリスマス! 毎年恒例のサタンの塔でのパーティーに招待されて向かっている最中。のはずなんだけど、アルルの歩いている道はサタンの塔とは別の方向であった。 しばらく歩いているとアルルはある家に着いた。 コンコン 「シェゾ〜、ボクだよ〜。いる〜?」 ドアをノックして、声をかけるアルル。ちょっとの間待つと扉が開いた。 「いったい、なんのようだ。魔力でも渡しに来たのか」 ちょっと不機嫌な声とともに現れたのは銀髪碧眼の美青年。 彼の名前はシェゾ・ウィグィィ。古代語で『神を汚す華やかな者』という意味だ。 闇の魔導師という人々に忌み嫌われる者であるがアルルにかかるとただの変態である。 彼、シェゾはアルルの中に眠る強大な魔力を手に入れようとして「お前が欲しい!」などっと言う変態なセリフを言い、勝負を挑む。 実力でいえば、完璧にシェゾの方が上だ。 しかし、なぜかいつも負けてしまう。 それでも、諦めずに何度も勝負を挑んだりするし、アルルのピンチを救う。 本人がいうには「アルル(の魔力)は俺のものだ」だそうだ。そのカッコの部分が抜けているために世間には誤解を受けまくっている。 「違うよ!どうせ、今年も来ないだろうと思って誘いに来たんだよ。 今回はなんか面白いゲームするとか言ってたし」 「誘い?なんの?」 「サタンの塔でのパーティーだよ。クリスマスのね!」 「ああ、そんなものもあったな」 「じゃっ、いこっか」 強引にシェゾの腕をとり引きずるように連れて行こうとするアルル。 「って、おい、ちょっとまて!」 シェゾはそう言い、アルルの腕を振り解く。 「誰が行くといった。誰が!」 「え〜!いこうよ。ねえ」 「ぐうう!」 だだっこのようにシェゾの服の袖をとり引っ張る。 「何で俺が行かなきゃいけないんだよ!」 「いいじゃん」 と言うように結構長い間、問答が続く。そして、その勝者は…… 「たくっ、何で俺が……」 やっぱアルルであった。 シェゾはいつものように黒い服に黒いマント、青いバンダナをしてアルルの隣を歩く。 「まあ、まあ」 「ぐう」 アルルとカーバンクルがなだめる。 そんなこんなでサタンの塔。すでに他のメンバーは来ており部屋には人がいっぱい。 アルル達も他のメンバーと話しをしたり食事をしたりと楽しく時間を過ごします。 ジャカジャジャーン!! いきなり、激しい音が鳴った。 「みんな楽しんでいるか〜?!」 音と共に一段高い場所に現れたのは緑の髪に金の角と言う格好の人物。 彼の名前はサタン、この塔の主にして自称「魔界のプリンス」 「サタン様〜」 と黄色い声をあげているのは格闘女王ルルー いきなりの事にみんなビックリとしてサタンを見ている。 「さて、今回はいつもと違いあるゲームを行うと皆にも言っていた。その説明をする。 ルールは簡単だ、この塔の最上階にこの指輪を置いておくこれを手に入れて私の前までもってくるというものだ。 このゲームの勝者にはカレー一年分!プラスこの指輪だ〜〜!!」 サタンは懐から青い透明感のある指輪を取り出しそう言った。 指輪は素人が見たとしてもかなりの価値があるもの。 酔っ払っていた人物達も眼を輝かせている。 「ぐ〜〜!!」 「カレー一年分だって。これはがんばらないとね、カーくん」 ここには指輪ではないほうに反応しているものもいた。けど、アルルも指輪に興味があるようで眼は指輪を見ている。 女の子だねえ。 青い石の透明感といい、どこかアルルの隣にいるシェゾの瞳をおもわす感じだ。 「…………」 そのシェゾは何もいわずに指輪を見ている。 あれを売ったらどのくらいの金になるかな? ああ、でもカレーもあるか 俗物的考えをしていた。 う〜ん、食べ物にでも困ってるのかあ 「では、これをおいてこよう」 サタンはそう言い消えた。そしてその次の瞬間には戻ってきた。 「さて、これで準備は出来た。いっておくが罠も仕掛けてあるからな。 ……では、スタート!!」 サタンの言葉と共に一斉にみんな走り出した。 「う〜ん、なんかだいぶ変わってるね。カーくんもそう思うでしょう?」 「ぐう」 アルルは現在五階、塔の高さがそのままなら丁度今は中間だろう。しかし、このサタンの塔はサタンの魔力よって出来ているので中の形も高さも思いのままである。 実際、来た時と中の様子は変わっている。まあ、ゲームなのだから高さはそのままだろうが。 アルルたちがてこてこと歩いていると曲がり角から金の髪を持った女の子が現れた。 ウィッチである。 「あっ、ウィッチ。調子はどう?」 「あら、アルルさん。ええ、いい感じですわ。絶対にあなたには負けませんから」 「うん!ボクも負けないよ」 「ぐー!」 息も荒くそういうウィッチにアルルとカーバンクルは元気よく答える。そして、それぞれ分かれて先へ進む。 一方、シェゾは何となく八階にいたのだがお金の為にいいかなと思ったもののたいしたもんじゃないし帰ってしまおうとしていた。 そこに黒い髪の金の鎧に身を包んだ青年が現れた。ラグナスである。 『あっ』 二人は同時に声をあげ、火花を散らしあう。闇の魔導師に光の勇者という相反するもの同士の為、しょっちゅう二人はこうゆう風になる。 ただし、ラグナスはそれ以外のものもありシェゾを敵視している。それは…… 「お前も来てたのか」 「ああ、アルルの奴がしつこいんでな」 「アルルが……」 ラグナスの顔が険しくなる。それもそのはず、ラグナスはアルルの事が好きなのだから。そのアルルがちょくちょくシェゾといるあっては敵視したくなるもんだ。 そのラグナス。今回のゲームで指輪を取ろうと意欲満々である。なぜなら…… 「おい、お前はアルルの事どう思ってるんだ?」 「あっん、どうって獲物に決まってんだろうが」 「そうじゃなくって、アルルの事が好きなのかって聞いてるんだよ!」 「は……?」 「お前はよくアルルといるだろうが!俺はアルルが好きだ!アルルはなかなか気付かないから、俺は今回あの指輪を取ってアルルのプレゼントする。その時に告白をするつもりだ。 お前はどうなんだ!?」 とまあ、告白がかかっているのだ。 思い立ったのはついさっき、そしてこんなにも大胆に言えるのは微妙にまだ酒が残っているからだろう。 シェゾはその言葉を聞いて何かもやもやとした感じのものが胸にわだかまるのを感じる。そして、なぜかむっとした気持ちになる。 「俺はあいつの事をそうゆう風なものとしてみた事はない」 「じゃあ、俺が告白をするのもアルルと付き合うのもいいんだな」 そういわれた瞬間、シェゾはラグナスと一緒にいるアルル(嬉しそう)を思い浮かべ、胸がむかむかとした。 「いいんだな」 ラグナスはもう一度言う。そして、シェゾに背を向けて次の階に向かう階段を探そうとした。シェゾはその後を追う。そして二人は並びあった。 『…………』 無言で歩く二人。 スタスタスタ ダダダダダ 競うあうように早歩きへそして走り出す。 キュッと音を立てて二人は同時に止まる、その時には一つ階段を上り九階にきていた。 「決着をつけといたほうが良さそうだな」 そう言ったのはラグナスだった。 「けんかなら買うぜ」 シェゾは憮然とした表情のままで言う。 さっきのラグナスの言葉と自分の想像がそうさせる。 二人は剣を構える。 「はっ!」 先に仕掛けたのはラグナスだった。 ラグナスは一気に間合いを詰めて下からシェゾを斬りつける。 ピッ 「だあっ!」 服が切れるもののシェゾはラグナスの剣を避けて、逆にラグナスに斬り返す。 戦いは三十分ほど続いた。 「はあっ……はあっ」 「……はあっ……はっ・……」 二人とも息はすでに乱れている。決着は次の一撃! 「闇の剣よ切り裂けーーーーー!!」 「くうッ……があっ!!」 シェゾの渾身の一撃にラグナスは避ける事が出来ず、耐える事も出来ず吹っ飛ばされた。 そのまま気を失う。 「……たくっ、てこずらせやがって」 シェゾはそう言い十階への階段を探し始めた。 結局は行くんかい。 その時にはアルルも八階へと来ていた。 六、七階では酔っている他のメンバーに因縁をつけられて勝負をするはめになったので少々時間がかかったが。 まあ、指輪を手に入れるために人を蹴落とすというやつだ。 そして八階では…… 「あ〜ら、アルルじゃないの。あいかわらず、ちんちくりんねえ〜」 完璧に!酔っているルルーがそこにいた。 「ルルー、お酒くさいよ〜」 「ぐうぅ〜」 アルルたちも今までの感じからやばいかもと思いつつ返事をする。 「うるさいわね〜、大体どうしてあんたがサタン様に〜!! ……そうよ、サタン様に選ばれるのはあたくしなんだからっ!!あんたなんかに……!!」 なんかやばい雰囲気だ、アルルのそのことを感じ少しずつルルーから離れる。だが、酔っても格闘家、その気配を感じアルルに据わった視線を向ける。 「なに逃げてんのよ!」 ルルーが怒鳴ると同時にアルルは逃げる。 「じゃっ!」 「ぐっ!」 「あっ、こら待ちなさい!」 逃げるアルル、追うルルー。コンパスの差からいっても仕方なし、結局はルルーに追いつかれるアルル。 「ふふふふ……サタン様との日々のため、覚悟しなさい!破岩掌!」 完璧に混乱してます。 まあ、以外に本気かもしれないけど。 「ひゃあっ」 繰り出された拳を何とか避けるアルル。 ヒュッと風を切る音と同時にアルルがいた場所の壁が派手な音と一緒に砕ける。 「ルルー、ごめん!ジュゲム!」 このままでは危ないと感じたアルルは謝りながらをジュゲムをルルーに放つ。 「きゃあっ!」 反撃を予想していたなかったのか、ルルーはそれをまともに受けてしまう。 威力は落としてあったのかもしれないがルルーを気絶させるだけには十分だった。 「ほんとっ、ごめんね」 「ぐう」 アルルはルルーに向かって誤りながら次の階への階段を探しに行く。 カーバンクルはアルルをぽんと叩く。仕方ないよといっているようにも見える。 十階……シェゾは青い指輪を手に入れた。今までの階に罠が少しは見られたがこの階は尋常ではなかった。 階段から一歩先に落とし穴、部屋の一つ一つに壁が迫るもの、天井が落ちるもの。廊下の天井から槍落ち、壁から槍が発射、どれもそれなりに殺傷力があるように感じる。 そんな中をシェゾは潜り抜けてきた。 途中、見知った顔の連中が嵌っているのが見えたがどれも生きていた。酔いが回って倒れていたのが大半だったのだ。 しかしそれで一階から十階まで来たのだから、欲は強い。 「さて、せっかくだから商品も貰うか……」 そう言い、サタンの待つ一階に下りて行こうとすると十階と九階の階段の時に偶然アルルに会う。 「あっ、シェゾ!……もしかして指輪手に入れたの?」 アルルはシェゾが上から降りてきたのでそう聞くと「ああ」とだけシェゾは答える。 すると、アルルはいきなりシェゾを指差した。 「キミがほしい!」 「ぐぅっ!」 「な……な……なにを……」 シェゾを指差したので肩のカーバンクルがバランスを崩しそうになる。慌てて小さな手をアルルの肩のアーマー置いてバランスを保つ。 シェゾはシェゾで顔を真っ赤にして慌てていた。 「もとい、キミの持つ指輪が欲しい!!」 アルルが言い直すとシェゾはホッとしたようなガックリと来たような気分になる。 なんだ?とシェゾは思いつつもアルルに言い返す。 「何でお前にやんなきゃいけないんだ」 「だって、サタンは自分のとこまで持って来いって言ったじゃんか。 だからサタンのとこまで持って行くまでにキミからとっちゃてもいいでしょ」 アルルはそういう。 「なるほど」とシェゾは頷く。 「それじゃあ、ジュゲム!」 「なっ……!」 まさか狭い階段でこんな強力な呪文がくるとは思わなかったシェゾ、しかしなんとかしのぐ。 「いきなり何をするんだ!」 といいつつアルルの横をすり抜けて階段を下りていく。 「あっ、待て!」 アルルも急いで追っかけるがシェゾを見失ってしまう。 「あ〜あ、カレー無くなっちゃったねカーくん」 「ぐうう」 アルルがそう言うとカーバンクルはちょっと悲しそうにうなだれる? 「ほれもって来たぞ」 「ほう、お前か」 シェゾは何とか一階まで戻ってきた。その途中、ルルーやらウィッチやらに襲われもしたが。ラグナスもいつのまにか復活していて襲ってきたが何とか乗り切る。 そして、今サタンの前に指輪を見せている。 「うむ、確かに。ではこれとカレー一年分確かに渡そう」 サタンは指輪を確認した。確かだと分かるとシェゾに指輪を渡した。 「なあ、指輪は分かるが、カレーなんてどうやって一年分渡すんだ?」 レトルトでもない限りカレーみたいなのを一年分で渡すのは無理だ。そう、シェゾは思っていた。そして、シェゾのその思いは当たっていた。 サタンはいともあっさりと言った。 「レトルトだから平気だ」 「…………」 まあ、そんなもんかという感じにシェゾは肩をすくめた。 『ゲーム終了!』 サタンの声は塔中に響いた。魔力で拡声でもしているのだろうか。 そしてそれはパーティーの終わりでもあった。塔に泊まる者、家に帰る者とわかれていった。 「シェ〜ゾ〜。 結局、キミだったの?」 シェゾを追いかけてきたアルルがシェゾの隣に並びながら聞いた。 「ああ。……そういえば、黄色いのはどうした」 シェゾは頷いた。 「カーくん?カーくんはご馳走食べたいって言ってたからサタンに預けてきた」 アルルがそう言う。 「なら、何で一緒にいないんだ。やっぱあのロリコン魔王に襲われるからか」 からかいながらシェゾは言う。するとアルルはちょっと頬を含まらせる。 「違うよ。……ちょっと、用事があっただけだよ」 少し、後のほうを濁しながら言うアルル。その頬は桜色に微妙に染まっていた。 「ほお」 シェゾはちょっと興味深そうにしたが特に何も言わなかった。 二人はそのまま一緒に歩いていた。アルルが喋り、時々シェゾが相槌を打つ。それだけの事だったがシェゾはどことなく胸が暖かくなるように感じた。 アルルの顔は寒さのせいなのかどことなく赤い。 そうこうする内にシェゾの家の前に着いた。 「それじゃあ……」 少し名残惜しそうにアルルは言い帰ろうとした。その時、なぜかシェゾはアルルを呼び止めた。 「アルル!」 「なに?」 「あっ……うっ……」 アルルが聞くがシェゾはすぐにその返事が出来ない。自分でも何故呼び止めたのかわからないのだから。 焦りながらも口実を作る。 「……やるよ」 そう言い、アルルに向かってあるものを投げた。 それは、サタンの塔で手にいれたあの青い石が嵌った指輪だった。 「えっ……!……いいの?」 指輪は弧を描いてアルルの手の中に収まる。アルルはそれをじっと見てからシェゾの顔を向けて聞いた。 「ああ……俺が持っていても仕方ないしな」 売ろうとしていた人物のセリフとは思えないような事を言い、シェゾは扉のノブに手を触れた。 その時…… 「あっ!」 アルルが急に叫んだ。 シェゾはなんだなんだと振り返る。そこにはちらほらと白いものが天から降り注いでいるの中にたたずみ上を見上げるアルルがいた。 「シェゾ、シェゾ。雪だよ!ホワイトクリスマスだね!」 アルルはそう言い、その場をくるくると回り出し、はしゃいでいた。 その様子はあまりにも無邪気で可愛らしかった。 シェゾはじっとそんなアルルを見つめていた。いや、正しくは見惚れていた。 「シェゾ!」 「……あっ、なんだ!」 アルルに呼びかけられて、はっと意識を取り戻す。 「ありがとう!……じゃあね」 アルルは指輪を持ってひまわりみたいに笑った。そして、くるっと向きを変えて駆け出していった。 シェゾはそれを見て真っ赤になり、自分の口元を手で押さえ俯いていた。そして、何かが自分の中にこみ上げてくるのを感じた。 アルルはある程度シェゾの家から離れると駆け出した足の速度を落として歩いていた。 そして、指輪にはめられた青い石を天にかざして見ていた。 「シェゾの眼みたい……」 アルルはポツリとそう言い、頬を桜色に染めていた。 かわいい…… そして、しばらくの間そうしていたのをやめて、その指輪を左手の小指にはめた。 「薬指は……キミが言ってくれた時の為にとっとくね」 アルルは誰かに言うように頬を桜色に染めたまま言った。 そしてスキップをするような足取りで家へと帰ってゆく。 〜FIN〜 |