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そろそろ風も鋭くなってきた、寒い季節。 受験生たちもそろそろ本腰を入れなくては、本当にやばいです。 とある学園のあるクラスでは、それとはまったく関係無しといった感じに、のんびりとした雰囲気に包まれていました。 「アルル、今日ヒマ? ウィッチと買い物に行くんだけど、あんたも行く?」 腰まである長い青い水晶のような髪の美少女と呼ぶには発育した女性が帰り支度をしている少女に声をかけた。 「あっ、ごめーん。 ボク、今日は家庭教師の人が来るんだぁ」 パンと拝むように頭をさげて、亜麻色の髪をポニーテールにした少女はあやまった。 「家庭教師? アルルさんてば、どうしたんですか?」 目を丸くして、青い髪の女性の隣にいる金髪の女の子は、驚いた。 3人はこの教室の生徒である。 18歳という微妙な年齢にいる青い髪の女性は、ルルー。 その隣に立つ15歳にしては大人びたところもある金髪の少女は、ウィッチ。 そして、16歳にしては顔も身体も幼いような気がする亜麻色の髪の少女は、アルル。 共に年齢がばらばらであるにもかかわらず、同じクラスに所属しているのは、クラス自体が学校の中でも何か一つ、ずば抜けて秀でた人間が集まる特別クラスであるせいだ。 彼女たちの他にも数人がこのクラスに属している。 彼女たちの場合は、 ルルーはスポーツ推薦が容易く取れるほど運動を得意として、格闘が最も得意である。 ウィッチは理系、その中でも薬学を得意としている。 アルルは実技に関してはピカイチという実力である。 他の者もそれぞれ何かしらに秀でていたり、総合的な実力の持ち主だったりしている。 「う〜ん、 ほら、中間でさぁ……あの点数だったから……」 恥ずかしそうに、アルルがいうと、二人はすっかり納得いったようで、うんうんと頷いていた。 そんな二人をアルルは複雑そうに見ていた。 「まあ、あんな点数だったら、普通はそうだな」 突如、男の声が割り込んできた。 「キミが言うと、とっても嫌味だねっ」 ブスっとした表情でふり向き、アルルは後ろに立っている銀髪のルルーと同じ歳ぐらいの青年を見上げた。 青年はこの教室、この学校で、最も優秀といわれている、剣道部の主将にして、万年学年トップのシェゾだった。 「お前が勝手にそう思っただけだろ」 平然と返すシェゾに、アルルは眉の間にしわを寄せていく。 「おいおい、喧嘩はしないでくれよ」 そう言って、黒髪の青年は自分の席へと移動していく。 彼は古代の文字などを得意としていて、その他の面も優秀であり、シェゾの次、つまりは学年二位を毎回取っている、カミュである。 「って……!? もう、時間ない!! それじゃあ、また明日!」 アルルは、教室にある時計を見上げて、慌てて、出て行った。 「あっ……行っちゃったわね」 ルルー達は突如走っていってしまったアルルを呆然と見送った。 「…………そういえば、 アルルさんの家庭教師の方って男の人なんでしょうか?」 ちらりとシェゾを見て、ウィッチはポツリと呟いた。 教室の中がシーンと静まり返る。 長い沈黙の後、 「帰る……!」 おもむろに鞄をつかみ、シェゾは足音荒く出って行った。 「どうなりますかね……」 「本当に男だったら、三角関係ね」 なにやら、楽しそうなウィッチとルルー。 (……ものすごく、面白がってるようにしか見えないんだが……) それをカミュはただ、呆れてみているだけであった。 @‐@‐@‐@‐@‐@‐@‐@ 「こんばんわ。初めまして。 ラグナスです」 黒髪の若い男がそうアルルに挨拶した。 「初めまして、ラグナス先生」 アルルは男、ラグナスに頭をさげて挨拶をした。 はじめて、男の人が(幼馴染のシェゾを抜かす)自分の部屋にはいてきた事もあるが、ラグナスの優しそうな雰囲気と整った顔立ちに緊張がより高まる。 「そんなに緊張しなくて良いよ。 ……さて、今日はまず軽くやってみようか」 ラグナスはそう言って、いくつかのプリントを取り出した。 「これは?」 「簡単な基礎問題。 これをやって、後は今どこまで進んでいるかの授業を聞いて、どこから始めるか決めようと思ってね」 「なるほど…」 「というわけで、 何か、分かりにくいところがあったら質問、という形でやっていこうか」 「はい」 数十分後。 「終わりました〜」 アルルの言葉に参考書のようなものを読んでいたラグナスは顔を上げた。 「それじゃあ、プリント見ているから、その間休憩していて良いよ」 「はぁい」 (ずいぶんと優しいなあ) ほんわかと暖かい気分になるのをアルルは感じた。 その後、授業の進みなどを聞いたりして、一日目は終了した。 「それじゃあ」 「先生さようなら」 扉の前で手を振り、アルルはラグナスを見送った。 (良い先生だなぁ。 分かりやすかったし、優しかったなぁ) アルルはほんのりと顔を赤らめて、家に入っていった。 それを向かいの家の二階から、じっと見下ろすシェゾがいた。 その目は鋭く、歩いていくラグナスを睨んでいるように見えた。 @‐@‐@‐@‐@‐@‐@‐@ それから、数日後。 嬉しそうに帰り支度をするアルル。 「なにやら、ずいぶんと楽しそうですわねアルルさん」 「えっ、そう?」 ウィッチがすすすっ、と近づいてきて聞くと、アルルは首をかしげた。 顔はかなり嬉しそうに笑っているが。 「そういえば、最近、小テストの結果が良くなってきたみたいなんだってね」 ルルーが何となく何かを楽しんでいるような笑いを浮かべて、聞いた。 「うん!そうなんだ♪」 「先生が良いんですわねぇ」 「うん、そうだと思うよ。 ラグナス先生て教えてるのが上手いんだよ」 「へぇ……」 楽しそうに話すアルルから視線を外して、二人は隅にいるシェゾにちらりと視線をうつすと、シェゾはかなり不機嫌と言うか、イライラとしているのが一目瞭然の状態であった。 「おい」 「なんだよ」 近寄りがたいオーラを放つシェゾに、カミュが声をかけると、かなり低い声でシェゾはぞんざいに応答した。 「あのな…… いいかげん、機嫌を直すか。 原因をどうするかしないか。 下級生とかが怯えてるぞ」 同じ部ということもあり、最近のシェゾの雰囲気に困る教師などから頼まれて、仕方なくカミュは干渉してきた。 「別に……」 「機嫌が悪くないと言うつもりなら、どこからどう見ても悪いようにしか見えないからな」 シェゾの言葉をさえぎって、カミュが早口で言うと、うっとシェゾは詰まった。 「あっと、そろそろ行かなきゃ。 じゃあねぇ〜」 そうこうするうちにアルルは教室を出て行こうとすると、 「あっ、ちょっと待ちなさい」 ルルーが急に呼び止めて、ぼそぼそと耳打ちをした。 「えっ!?」 アルルは大きな声を出して、真っ赤になった。 「で、でもだって……」 「よく考えてみなさいよ」 くすくすと楽しそうなルルーはそう言って、アルルを追いやった。 「…………」 シェゾは無言でたちがり、教室を出て行く。もう、近づいたらヤバイというオーラを発したまま。 カミュは、ため息をついて、シェゾを見送るしかなかった。 |