リナの不思議な夢
風月 藍


 ある日あたしは変な夢を見た。
 あたしの名前はリナ=インバース。天才美少女魔道士。  まあ、世間では盗賊殺し(ロバースキラー)とかドラまた(ドラゴンもまたいで通る)とか変な事言われてたりする。まぁ、どうでも良いことね、これは。
 で、夢のことだけど、それは本当に変で不思議な夢だった。だって、そこはあたしがいる世界ではない場所。
 異世界の夢だったのだから。



「アルル!今日こそ、私の后として結婚式を挙げよう!」
「キミも相変わらずしつこいね。嫌だって言ってるじゃないか」
「ははは、照れなくてもいいんだぞ」
「違うって!もう、いい加減にしてよね。ジュゲム!」
 緑の髪に赤い瞳を持った、人とは思えない男と、亜麻色の髪に金の瞳をしたあたしより少し下ぐらいの女の子が会話をしていた。
 男がなんかわけの分からん事を言っていると女の子は怒り出して、あたしの知らない呪文を放った。
 男の姿といい、女の子の放った呪文といい、どう考えてもこれはあたしがいる世界じゃない。
 でも、浮遊(レビテーション)を唱えていないのにあたしは浮かんでいて、男と女の子の上からその光景を見ている。

  いったいどうなってんの?

 あたしはわけが分からなかった。試しに手の甲をつねる。……痛くない。
 ってことは夢!?でもなんで夢で別の世界を見ないといけないの?
 そんなことを考えていると女の子はすでに道を歩き出していた。男は先ほどの呪文で遠くに吹っ飛んだみたい。

  なんか、似たような事が身近に……

 そんな考えが浮かんだがそれを振り払って女の子に付いて行った。
 試しに女の子の肩を叩こうと女の子の後ろに降りた。がっ、するという音が聞こえそうな感じにあたしの手は通り抜けた。

  実体がないのか

 結構冷静な感じにあたしは思った。
 今度は女の子の前に出てみる。けど女の子はあたしの身体をすり抜けていくし、女の子はあたしが前にいたことにも気付いていない。
  さて、どうすればいいのかな?
 そんなことを考えつつ女の子に付いていく。なんていったて自分の知らない世界なんだもん。
 夢なんだから適当な時に目が覚めるだろうし、この機会を逃しちゃいけない。この世界を見てみよう。

「たく、サタンは相変わらずだし……どうして、ボクの周りにはああゆうのしかいないのかな」
 女の子が歩きながらそう言っていた。サタンというのはさっきの男の事だろうな。会話でも言ってたし。
 彼女は確か……アルルって言われてたわね。
 しばらくすると前のほうに家らしきものが見えてきた。
 女の子はまっすぐにそこに行くと扉を開けた。ここが女の子の家ってことね。
「ただいまー!」
「ぐー!」
 女の子が扉を開けるとその奥には黄色いウサギのような不思議な動物がいた。
 そして女の子に向かってしゅたっとばかりに手を上げて、女の子の方に走ってきた。
  なんなのあの生き物??
「ぐー!!」
 その生き物はあたしを見た。
 そう、あたしのほうを見たんじゃない、確実にあたしを見ていた。
 そしてその生き物はあたしに手を上げた。なんかあいさつしているみたいに思える。
 女の子は後ろをみて、あたしのほうを見ているがあたしを見えている様子はない。
 その視線はうろうろとあたしの周りを見ているから。

  「カーくん、なんか居るの?」
「ぐう?ぐっぐう」
「へ?女の子がいるの?でも僕にはなんも見えないよ」
「ぐう?」
 女の子は黄色い生き物の言っている事が分かるみたいでそんな会話をした。が、しかしその会話はすぐに中断された。
「あっ、いけない。もうこんな時間だ。早くしないと夕飯に間に合わないや。行こう、カーくん」
「ぐーーー!!」
 黄色い生き物のすぐにあたしの事を忘れたみたい。なんか、うれしそうに女の子の肩に乗った。
 まるでそれがいつもの定位置というようなぐらい自然だった。

  ガウリィ並みの脳みそか!?

 あたしは黄色い生き物を見てそう思った。そして、金髪碧眼の自称あたしの保護者の事を思い出す。
 女の子はそれから商店街らしき所に向かって、ジャガイモ、にんじん、たまねぎ、などを買った。
 最後にカレールーを買っていたからカレーみたい。


 その帰り道にまたあの緑の髪のサタンといわれていた男が現れた。けど、今度はさっきよりもっと変だった。
「かーくんvvvvvv」
 ハートマークを撒き散らすといってもいいような感じに黄色い生き物の名らしきものを呼び女の子の方にいきよい良く走ってきた。
 女の子の方は先程どのようにいつもの事なのかただ一言
「ジュゲム」
 といい、男に呪文を放った。そして、それと同時に黄色い生き物が額の赤い宝石から光の筋が出た。
「ぐー!!」
 その二つの強力な力によって、男は一気に吹き飛ばされた。
「カーく〜ん〜〜!!
 どうして、こうなるんだーーーーーーーーーーー!!!」
 そんな叫びが聞こえた。
 そして女の子はまた何事もなかったように家に帰った。



 女の子のほうは見たし、今度は街を見ようかと思い、あたしは女の子に付いて行かず街を色々と見た。
 そして、天にも届きそうな大きな塔が見えたのでそこに向かった。その塔は以外にも十階までしかなかった。
  あの見かけはなんだったの!?
 十階に着きあたしは思わず唸った。

 十階にはあの「カーくん」と呼ばれていた黄色い生き物の人形がそこかしこに小さいのやら大きいのやらあった。
 ついでに玉座らしき場所に続く絨毯にも黄色い生き物の刺繍が入っていた。そして、その玉座には緑の髪の男がいた。
 その男は玉座に座り、水晶を見ていた。あたしは男に後ろに回り水晶を覗き込んだ。
 すると、そこにはあの亜麻色の髪の女の子と黄色い生き物がいた。

「う〜ん、いつ見てもカーくんは可愛いなあvv
 さて、アルルはなかなか私の后になろうとしないし。何か手はないものか」
 男は水晶を見つめながら言った。どう見てもストーカーよね。

  この人変態?
 あたしは思わずつぶやいた。すると男がいきなり振り向いた。
「……はて、何か声が聞こえたと思ったのだが。
 んっ!あの変態、性懲りもなくわが后に!」
 男はあたしの姿が見えないみたいで首を捻って不思議がっていた。けど、すぐにそれは怒りになった。
 水晶には銀の髪にガウリィと同じ青い瞳の男がいた。

  綺麗……

 銀髪の男の声が聞こえた。水晶から通して聞こえたその言葉はあたしの頭を真っ白にするには十分な言葉だった。
『お前が欲しい!』
『いっつも、いっつも、この変態!いいかげんしろぉ!!ジュジュジュジュゲム!!!』
 あたしが真っ白になっていたときに女の子は怒った表情と声で銀髪の男に向かって、例の呪文を放った。

  これしか呪文がないの?
 と思うくらい女の子は同じ呪文を使っている。
 さて、緑髪の男はその様子を見て嬉しそうだった。
「あの変態め。自業自得だ。毎回、毎回、わが后に手を出そうとして」
 このあとも男は女の子と様子を水晶に通して見ていた。
 そして、だんだん退屈してきたのか。いきなり外に出かけようとした。
 っが、それは叶わなかった。どうしてかというとある事があったから。
 彼が出かけようとした時、青い水晶のような色の長いウェーブがかかった髪の女が入ってきた。
 その女はこう出るとこが出ているナイスバディという身体だった。

  くう、羨ましい。あたしもあれ位あったら……
 ってそうじゃない。だいたい、あたしはこれからだもん。
 あたしは頭を振り男と女の様子を見ていた。
 女の後からは牛男を呼んだらいいだろうというのが付いてきていた。筋肉質なマッチョな身体をしていて気持ち悪い。
「サタン様vv美味しいカレーが出来ましたので、お持ちしましたの。どうぞ、食べて下さいvv」
 男の方は女を見たときから、冷汗と言っていい汗をたらし。途方にくれた顔をしていた。
「あー、ルルー実いうと私はこれから、ちょっと用があって出かけるのだよ。すまないが食べてやれん。本当にすまないな」
 女はその言葉に天国から地獄に叩き落されたような表情をした。
 男はなんともいえないといいた感じに相変わらず汗を浮かべていた。
「そうなんですか。残念です。せっかくでしたに」
「うん、本当にすまないな。それでは
 アルルよ。待っていろよ
 女に向けて女の側をとおり、扉を開いた。その時小さく呟いた言葉を女は敏感に聞いたみたいで、いきなり泣きそうな顔をして一気に扉にいる男へと詰め寄った。
 一歩、二歩の距離じゃなくってもっとあり、普通は一瞬で詰めれる距離じゃなかった。
 実際、女がいた場所は少し摩擦されたように絨毯が乱れていた。

  何もんなのよ!!

 驚きのあまり叫んだ。だがそれは誰にも聞こえない。
「どうしてアルルなんですか。酷いですわ!!」
 女はすでに切れているのかいきなり右拳を男へと繰り出した。それは見事に男の鳩尾へと決まった。

  うまい!

 思わず、拳を握る。
「ぐはっ、お……おちつけ、ルルー。
 って……ぐっ、べっ、ぼべっ」
 男のセリフが聞こえてないのか女はとにかく拳やらを繰り出していた。

  なんかアメリアが切れたらあんな感じになるのかな。やだなあ。

 あたしは思わず、旅の仲間の一人の短い黒髪の女の子を思い出した。
 その間にも女の拳は繰り出されており、女を止めようと牛男が肩を掴む。
「ルルー様。落ち・・・・・・ぶほっ」
 しかし、牛男の言葉は全部言えず、女の拳で遠くに吹っ飛んだ。

  うそお。
  どうやったら、あんな大きいのが女の拳で吹っ飛ぶのよ!!

 驚きなんてものじゃなかった。
 女はとにかく殴っていた。
「ひどいですわーーーーーーーー」
 最後にはそう言いながら、走っていった。
 牛男は気をいつの間にやら取り戻していたらしく。
「待ってください。ルルー様――」
 後にはボロボロになった男だけが残った。
 近づいてみるとすでに男は気を失っていた。

  なんつーところ
思わず本音が漏れた。




「う……」
 男はものすごい、まるでナーガみたいな回復力で立ち上がった。けど、まだ足元がふらふらとしている。
 出かける事をやめたのだろう玉座の方に戻ろうと歩いていた。その時
 ばんっ
 と凄い音を立てて扉が開いた。
「サタン!!」
 扉から来たのは栗色の女の子だった。女の子は怒った顔をしてずんずんと男にと近づいて行こうとした。
 その肩にはあの黄色い生き物がいなかった。
「キミでしょう!!カーくんをどこにやったの!」
 どうやら、女の子とは黄色い生き物を男がつれって言ったと思っているみたい。
 男は何の事だとばかりに言った。
「何の事だ?カーくんに何かあったのか?」
「とぼけるんじゃない!ダイアキュート…」
 女の子は何か嫌なことでもあったのかある程度の場所で立ち止まり呪文を連続して唱えていた。
 あの呪文じゃなくて、男にも影響がない。
 だけど、女の子の力ださっきより高くなったように感じる。

「なっ……!ちょ、ちょっと、待って!!」
 男は慌てて手を振った。あたしは丁度その隣にいったのでやばいと思い逃げようとした。けど、遅かった。
「問答無用!ジュジュジュジュジュジュジュジュジュゲム!!」
「どわあーーーーーーーーーー!!」

  きゃーーーーーーーー!!



 まぶしい光に包まれてあたしは目を閉じた告ぐの瞬間にはあたしは宿屋のベッドにいた。
  一体なんだったのだろうか?
 そんなことを思いつつ、着替えて下に降りると白いフードを被った怪しい男、金髪碧眼の美青年、おかっぱにした黒い髪の女の子がいるテーブルに向かった。
「おはよう、ゼル、ガウリィ、アメリア」
「ああ」
「おそいぞ、リナ。さっさと飯にしようぜ」
「おはようございます、リナさん」
 三人といつものようにあいさつをして、いつものより少なく定食五人前でやめた。
「どうした!」「どうしたんですか!」
 と三人にむかつく事を言われたけど、それさえもどうでもよく。あたしはあの夢は一体なんなのかとぼーと考えていた。



 結局何なのかわかんなかったので忘れる事にしようと思う。
 だって、まだまだ色々と魔族とかあるから、そんなこと考えてる暇ないからね。
 とにかく、あの不思議な夢は不思議な変な夢だったということ。
 ただそれだけ。
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