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「・・・・・・!?」 朝、目が覚めたあたし―天才美少女魔道士リナ=インバース―が感じたのは暖かいふわふわの毛の感触。 ビックリしてあたりを見回すけど、何処にも動物の姿はない。 「気のせい・・・?」 あたしは一瞬そう思ったけど、すぐに気のせいではない事に気が付いた。 動物がいるわけではないことも。 なぜなら、あたし自身が動物になっていたのだから…… 気が付いたのは簡単、いつものより視界が低く見えたから。 そしてふと自分の手を見るとそこにはぷにぷにの肉球が。 白くなった状態のまま、あたしは行動をはじめた。 ストン トテトテ トン ベッドから下り、鏡のあるドレッサーの所に行くとそこには猫がいた。 栗色のふわふわした長い毛、 紅の瞳は少し細く長い、ピンと伸びた耳、フリフリと後ろで揺れる尻尾。 何処からどうみても猫 「うにゃあー!!」 なんなのよー!!と叫びたかったけど、のどから出たのは猫の鳴き声。 一体何なのよ・・・ あの後、少し冷静になり考えた。 昨日食べた食事は普通のランチだ。そこで、他の人たちが盗賊の話をしていた。 結構、でっかいとこみたいだったのでついうずうずして、夜にその盗賊団のアジトに出かけた。 ほんと、羽振りがいいとこだったわよね。魔法アイテムが三つもあったし、結構上質の宝石もあったしね。 って、そうじゃないわ。食事じゃなければ、後はその盗賊たちだけど、火炎球の一発でおしまいだったから違うだろうし・・・そうだ! アイテムのやつをざっと見ていたとき、ガウリィがいきなり出て来たんで怪我したんだっけ、 許すまじガウリィ! 乙女の柔肌を傷つけた罪は重いのよ。 ストン トテトテ ズルズル ゴソゴソ アイテムの事である事を思ったので実際にそのアイテムを取ろうとベッドの方に戻った。 あの盗賊たちの所で見つけたアイテムは三つ。 宝石のペンダント、これは多分護符でしょう。 赤い石のはまった指輪、何かの呪文が込められているんだと思う。これに変化する呪文をかけられていれば、今のようになるだろうけど……普通はすぐに効果出るはずよねぇ。 短剣、これも何か魔法が込められている。多分切りつければ効果があるタイプじゃないかと思う。 ペンダントではない事は確か。あの時、ガウリィが声をかけた所為で短剣で指を切ったから短剣はありえるし。 でも、これがわかっても、解除できなきゃ意味ないのよねぇ。ここにはそういう研究ができるものはないし、なんていったて普通の宿屋だし。 どうすれば良いのよぉ…… コンコン 「おーい。リナ、朝飯食いに行こうぜ」 来たわね、元凶。 ガウリィの声が扉の向こうから聞こえた。引掻いてやりたい気持ちでいっぱいだけど、それよりもこの姿を見られるのはいや。 あたしは慌てて、ベッドの下に潜り込んだ。 「リナ?」 ガチャ あたしの返事がないことに不思議にでも思ったんでしょう。ガウリィは扉を開けた。・・・って鍵は!? 確かに鍵は閉めたのに! 「鍵、欠け忘れてんな。おい、リナ。・・・っていない?おかしいな、気配ははっきりと感じたのに」 最初の呟きはあたしに言った訳ではないだろうけど・・・本当におかしいなぁ、確かに鍵は閉めたのに。 ・・・・・・とりあえず、気付いてはいないみたいだけど。早く行ってくんないかなぁ。と思っていると 「んっ!・・・・・・何だコレ?」 ガウリィがなんか見つけたのかと思ったら、いきなり痛みが走った。 「ふぎゃぁ!」 普段はなかったせいだと思うけど、ベッドの下に尻尾が出ていた。 それに気がついたガウリィはそれを引っ張り…… ゴン ・・・・・・イタヒ。 いきなり引っ張られた痛みで飛び跳ねた。 その上にはベッドの下の部分があったせいでものすごぉく痛かった。尻尾と頭で二重に痛い。 くそぅ、ガウリィの奴、引掻いちゃる。そう、あたしは思い、この姿を見られるのも気にせずベッドの下から出た。 「おっ・・・・・・」 ひゅっ ばりぃぃー! ガウリィがその次の言葉を言う前に思いっきり爪で引掻いてやった。 いきなりの事でガウリィは避けそこね、頬に三本の赤い線がついた。ざまあみろ。 「・・・・・・てっえ」 ガウリィは頬を押さえて痛がっていた。まあ、本当に思いっきりやったからね。 あたしなんかそれよりもっと痛かったんだから。 「おい、こら」 いいきみとおもい優越感に浸っていたら、ひょいと言った感じにあたしに体は浮き上がった、と思うとすぐ目の前にガウリィの顔があった。 ガウリィがあたしの首を持っているので丁度ぶら下がるといった感じになっている。 「うにゃあ!」 いきなりのドアップだったので驚いて手が出た。 ちょうどガウリィを引掻きそうになる位置だったけど今度はガウリィもちゃんと避けた。 「…とっ、……危ないな」 「みゃあ!」 あんたがいきなり持ち上げるからでしょう!と言いたいのにぃ、あたしの言葉はガウリィに伝わりもしない。 「う〜ん、この紅い目なんかリナみたいだなおまえ」 ガウリィは今度あたしの腕(つまりは前足)の所を両腕で持ってあたしの眼をじっくりと見て言った。 「みゃあぁ〜」 あたしなのよぉ〜。 いい加減、この状態から出たかったからガウリィに伝わらないかと何度も首を縦に振ったが、気付いた様子はなし。そのくせ言っている事は合っている。 「栗色の毛かあ、ほんとにリナが猫になっていたりしてな。ってそんな事無いか。 でもならなんで部屋にいないんだろうなあ?」 「みゃあ、うみゃあ!」 だから、あたしだってば! そんな思いも届かない。くそ、馬鹿ガウリィ。 怒りであたしはもう一度引掻いちゃろうかと思ったその時。 ぐらぐらと揺れる感覚が来た。 「おっと」 ガウリィは少しバランスを崩してその手からあたしが落ちた。それもガウリィのほうへ… ウチュッ そんな音が聞こえたかもしんない。いやそんな事も考えられないくらいあたしの頭は真っ白になった。 だって……だって、落下したあたしはガウリィとキスする形になちゃッたんだから〜〜〜〜!!!! あたしのふぁうすときすが…… ボウン 何かが破裂するような音と共に煙が出た。 「げほげほ、なんだこれ?」 ガウリィがそう言い、手で煙を仰いだ。あたしは未だに正気に戻れず呆然としていた。 「あれ?リナいつの間にそんなとこにいたんだ」 ガウリィのそのセリフを聞き、やっと正気に戻った。 がばっ あたしはドレッサーの鏡を見た。そこにいたのはいつもの栗色の髪に深紅の眼をした女の子。 あたしの姿だった。 あたしはそれだけでは信じられなく、自分の身体を触った。どうやら服も一緒に変わっていたらしい。 「もどった〜」 そう言ったあたしの言葉は猫の鳴き声じゃなかった。本当に戻れたんだ。 にしても、一体なんで戻れたんだ? そう思ったとき。 「リナ、どうしたんだ?」 ガウリィが声をかけてきた。 ……もしかして。あたしの頭には先程の出来事が浮かび上がった。 そして、多分それが戻った原因だろうと感じた。けど、この原因自体とて多分ガウリィのせいなんだから。 と思った時点であたしの中にはガウリィに対する怒りで一杯だった。 「あ〜ん〜た〜の〜せ〜い〜で〜、こうなったんだからねえ!振動弾 どぉ〜〜〜ん! 「うぎゃーーーーーーー」 派手な音を立て宿屋の屋根ごとガウリィは空の向こうに消えてった。 ふぅ、すっきりした。 その日、宿屋の主人に修理代を払い、美味しくご飯を食べた。 あと、夜にガウリィが戻ってきた。 森かどっかだったのか服はボロボロで葉っぱとかがついていた。 ついたそうそう、なんか文句言っていたけど、何の説明もしてやんなかった。 だって、あんな間抜けな話したくないし。それに吹っ飛ばされたのはガウリィの自業自得だからね。 〜お・し・ま・い〜 |