|
【アルル】 白い雲があたりに散らばっている、薄い水色の空。お日様もぽかぽかと気持ちよい。 そんないい天気だから、ボクとカーくんは草原に散歩に出かけた。 「う〜ん!いい天気だねぇ、カーくん」 「ぐう!!」 ボクは思いっきり背伸びをして、肩にいるカーくんに話しかけた。 「こんな日はどっかのダンジョンに遊びにいくのもいいねぇ」 「ぐうぐう」 「……あれ?」 ボクはカーくんとおしゃべりをしていると、ボクたちが歩いている場所に影が落ちた。雲にしてはヘンだなぁ、と思ったから上を見上げたら…… 「サタン?」 「ぐう」 ボクを「后」と呼んでいるしつこい魔界の王様。本人は魔界の貴公子、とか言っているけどね。 もともと、ボクの肩にいるウサギのような不思議な生き物のカーくんは彼と一緒にいた。 けど、今はボクの大切な友達。 ボクとカーくんが首をかしげてみていると、サタンもこっちに気付いたみたいだった。 「……かぁ〜くぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んvvvvvvvv!!!!!!!!!!!」 すんごく不気味な声でカーくんを呼びながらサタンは急降下してきた。 ボクはいつもの事なので平気だけど、普通の人はおびえるよねぇ。 「ぐぅ!!」 「ぐぅふぅはっ!!!!!」 カーくんはちょうど、サタンがあと少しでボクたちにふれそうな場所まできたとき、ボクの肩から飛び出して、そう小さな手でサタンをなぐりつけた。 みごとに撃沈されたサタンは地面でぴくぴくとしていた。 「おぉ」 ボクはいつもなら額のルベルクラクからビームを出してサタンを攻撃しているのに、珍しく普通に殴っていったので、感心して拍手をしていた。 「ぐっぐぅ!」 カーくんもうれしそうに踊っている。 ボクたちがそんな風にしていても、サタンがいっこうに起き上がらないので、ヘンだなぁとボクは思った。 「お〜い、だいじょぉぶぅ?」 ボクはつんつんとサタンの身体をつっつき、小さく声をかけた。 「アルルぅ!!」 ぐばぁっ、とサタンは起き上がってボクに突進してこようとした。 とっさによけたので、サタンはまた地面と衝突しているけど。 「あぁ〜、ビックリしたぁ」 「ひどぃ」 「ところでキミどこか出かける途中だったんじゃないの?」 ボクがほっと息をついているとサタンは地面でいじけ始めたので、ボクは本来彼があっただろう目的を聞いた。 だって、サタンが飛んでいたんだし、どっかでかける用事がなきゃそんなことしないだろうし。 「おお!そうだった!! ルルーから食事に呼ばれていたんだ!!」 「ぐう!?」 サタンが起き上がり、そう言うと、カーくんは食事と言う部分に反応した。 ほんと、カーくんは食べるのスキだなぁ。 「おお、カーくんも一緒に来るかい?」 「え!?」 サタンが行きたそうにしているカーくんにそう声をかけたのでボクは声をだした。 だって、ルルーが怒るんじゃないかと思ったから。 ルルーはなんていったて、サタンを「サタン様」て呼んで、サタンのお嫁さんになりたがっているんだもん。 せっかくサタンと二人きりなのにカーくんがいっしょに行ったら、いきなり得意の破岩掌とか出るかも。 「ぐう☆」 ボクが止める前にカーくんは大喜びで返事をしてしまった。 「ああ……ボク知らないよ」 ボクはため息をついて、こっそりと呟いた。 「では、アルル。明日にはカーくんを帰すぞ。では……」 サタンもサタンでうれしそうにカーくんを抱えて、ルルーの屋敷へと飛んでいった。 「……ルルー、怒るよねぇ ……ボク、し〜らないっと」 町のほうへ向きを変えて、ボクは草原を歩いた。 そのときに、どこかなまあたたかい風が吹いた。 「シェゾ!?」 風が吹いたと思ったら、2、3歩前に知っているお兄さんが現れた。 「お前が欲しい!!」 「…………ヘンタイ」 毎回毎回おなじみのセリフといっしょに剣をボクに突きつけるシェゾにボクはぼそりと呟いた。 「なんだとぉ!」 しっかりと聞き取ったシェゾは怒った顔をして、ボクに一歩近づいた。 ほんとの事じゃないか。 黙っていればとってもカッコ良いのに、口を開けばヘンタイなことしか言わないし。それも本当はボクの魔力がほしいだけなくせに…… 「ヘンタイって言ったんだよ。このヘンタイ!」 「きさまぁ!一度ならず、二度も三度も! 俺はヘンタイじゃねぇ!闇の魔導師だ!!」 「ふぅ〜んだ。 キミなんかヘンタイで十分だよぉ」 「……いい根性してんじゃねぇか。 アルル!勝負だ!!」 なんかいつもシェゾのセリフにむかむかするのでつい、意地悪く言ったら、シェゾは本当に怒って、呪文の準備をはじめちゃった。 シェゾは変態だけど、強い事は確かなので、ボクもすぐに呪文に集中した。 「くらえ!アレイアード!!」 「ジュゲム!!」 同時にボクとシェゾの呪文はぶつかった。 風が起こった。 いつもなら、この後にシェゾが連続してくるのでボクも別のを準備していた。けど、ボクたちの勝負は続かなかった。 どうしてかわかんないけど、いきなり何かに吸い込まれるような感覚があったかと思うと、ボクとシェゾの呪文がぶつかった場所にちょうど時空が歪んで開いていた。 そして、ボクとシェゾはその歪みに吸い込まれていった。 「きゃーーーーーーーーーー!!!!!!」 「うわぁーーーーーーー!!!!!」 【リナ】 いつものように、宿で耳にした盗賊たちの噂を聞きつけてあたしはその盗賊たちのアジトに向かっていた。 「んふふふ……待ってってね、おたっからさん♪」 丘の上にある廃墟。 それが盗賊たちのアジト。 あたしがその廃墟に近づくと壁の割れ目からそっと中をのぞいた。 中には盗賊たちが酒盛りをしている。 一応まともに残っている部屋でもあるのか、扉がいくつか見えた。 ということは、お宝さんは向こうね。 「それじゃぁ、いっちょ行きますか!」 廃墟から何歩か下がり、あたしは呪文に集中した。 「火炎球!!」 火の塊はピッタリ、盗賊たちがいた場所に轟音をたてた。 「さぁ〜て、お宝さん♪お宝さん♪」 喚きながらアジトから散り散りに逃げ出すザコどもや、パニックってお宝の部屋に向かボスらしきやつとかがいる中にあたしは乗り込んでいった。 「てめぇ、誰だ!!」 「うっさい」 あたしはザコの一人が喚くのを炎の矢 「魔道士か!」 誰かがそう叫んだ。 「つぅことは、あの悪名高い盗賊殺し 「ひいぃ!!」 「うわぁ!!」 勝手に想像した盗賊たちはあたしが何か言う前に、逃げ出していった。 いや、そりゃあ、あたしは天才美少女魔道士リナ=インバースで、なんかいろいろと変な名前が散らばっているけどさぁ…… ちょっと、気分を害しながらも、邪魔するやつがいなくなったので、お宝捜しを始めた。 「って、これだけぇ!?」 かなり少ない量にあたしは不満の声をあげた。 「たくっ、そこそこ人数いたから期待していたっていうのに、何よこれ。 たくっ、もう少しためときなさいっていうのよ!!」 ぶつぶつと言いながら、あたしはお手製ザックに宝石などを中心に入れていった。金貨はかさばるからね。 「こんだけ荒らしておいてよく言うなぁ」 「まっ、リナだからな」 「リナさん、悪を退治するなら私も呼んでくださいよ!!」 聞き覚えありまくる声にあたしはそぉと後ろを振り返った、そしてやっぱり、想像通りだった。 「あら、きぐうね♪ガウリィ、ゼル、アメリア☆」 「笑ってごまかすな」 あたしが、笑みを浮かべて言うと、金髪の自称あたしの保護者のガウリィが突っ込みをいれた。普段はクラゲなくせに。 「良いじゃない、盗賊いじめの一つや二つ」 開き直って言ってやると、三人してため息をついた。 「何…………!?」 あたしが文句を言おうとしたとき、空から人が振ってきた。 「おい、どうしたんだ?」 「あっ!あれみてください!!」 「人が倒れているな」 あたしが驚いているのに、ガウリィがあたしに声をかけた。アメリアはあたしの視線を追ったのだろう、すでに地面に倒れている二人の人物を指差した。そして、ゼルはそれを見て冷静に現状を言った。 「いたたた……」 「おい……」 「あっ、ゴメン」 あたしたちをよそに倒れた二人のうち茶色い髪をした女の子が銀髪の結構美男子の男の上で痛そうにして、男の不機嫌そうな声に急いでその場から離れた。 ・・・続く |