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「ついにやりましたね」 「…そうだな……」 炎を取り巻き騒ぐ宴から抜け出し、煌々と照らす月を見上げていたジョシュアは後ろからかけられた声にうなずく。 「これから…お前はどうする?」 隣に並んだファーリュへと顔を向ける。 白い鎧は月光に輝き、ジョシュアより頭ひとつ分高い位置から肩にかかるほどの銀の髪も月の輝きの中一際美しく煌いていた。 「もちろん…」 ファーリュが答えようとする前に、さらにジョシュアが言葉を続けた。 「俺の後についてくる。という答えはいらないぞ。 別に伯父上の様に仕える必要はないんだ。 お前がしたいように、していいんだ。旅に出るのも。領地へ帰り治めるのも。 …好きにしていいんだ」 知っているから。 お前は望んで、その場所にいるわけではないと、知っているから。 幼い時から一緒にいた友だからこそ、自由になってほしい。 ジョシュアはそんな思いを込めて、ファーリュをみつめる。 真摯に見つめる紫の瞳を受け止めた蒼穹の瞳には困ったような面白がっているような、そんな輝きがあった。 ファーリュは苦笑を浮かべる。ジョシュアが自分の事を考えている事を分かっているから。 確かに望んでいたのだ。 貴族という地位にとらわれる事もなく。ただ、一人の人間として歩んでいきたい。 縛られる事は嫌いだ。 だが… 「私は、自分の意思でここに立っている。 そして、これからもお前の隣に立つ」 「…………ほんとうに、いいのか? これからは、今までとは違う意味で大変なんだぞ。 お前は昔から机でじっとしているのが嫌いだろ。いいのか?」 お前だって苦手だろう。そう、笑ってファーリュは返した。 そして、彼は腰に下げた剣を抜き放つ。鉄は冷たく光を返す。 「おい…」 何をするんだよ。と呟くジョシュアに向き直り、己と彼との間の大地へと剣を突き刺す。 剣を右手で握り、膝を地へつける。 「ジョシュア…いや、 ジョシュア・フェル・ラ・リエルラト殿下。 我が忠誠は永遠に貴方と共に…」 それは正式な言葉ではない。けど、彼が騎士として主を定めた事を意味するものだった。 ジョシュアは頭をたれるファーリュを目を丸くして見つめていた。 ……しかし、それは数瞬。ジョシュアは「立ってくれ」とファーリュに言い、顔を上げた彼に言う。 「なら、これからも俺の後ろを頼むよ」 ジョシュアは手を差し伸べた。 ファーリュがその手を握り、立ち上がると、キャンプの方から声が届いた。 「行くか」 「あぁ」 二人は笑い合い、キャンプの方へと戻っていった。 〜FIN〜 |