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「ほら、お土産だよ」 40そこそこの男は笑いながら、大きな包装された品を女の子に渡した。 5歳ぐらいの女の子は嬉しそうに笑いながらその品を受け取った。 「わーい☆」 ガサゴソガサと女の子は包装紙を相手に悪戦苦闘しながらも包装を解いてゆく。 男がその姿に微笑をしていると奥から男とそう変わらない年の女がでてきた。 「お帰りなさい、あなた」 女は男に近づき、言った。その間に女の子はやっと包装との格闘を終えた。 「うっわぁ!!」 包装からでてきたのは大きなテディ・ベア。ふかふかの薄茶色の毛。くりくりとした黒い目。女の子とほとんど変わらないその大きさの体。 女の子は両手でそのぬいぐるみを持って男に本当に嬉しそうに笑った。 「とうさま!ありがとう!」 その満面の笑みに男と女はとても幸せそうに微笑みあった。 女の子はテディ・ベアをかか抱え、2階への階段をふらふらと上って行った。 ぬいぐるみの大きさと重さにまだ慣れていない姿はとにかく可愛らしかった。 女の子は2階に上がると、奥の部屋の扉に向かう。 扉の前に立つと一度、テディ・ベアを置き、軽く背伸びをしてノブを回した。 カチャと音をたてて扉が開くと再びテディ・ベアを抱え、部屋に入った。 「にいさま!」 扉を開けてまっすぐ前に机があり、その机に座っていた青年が女の子の声に振り向く。 振り向いた青年は15、6ぐらいの年頃で、どちらかというと少年と呼んだほうがよさそうだった。 少年は女の子を見ると小さく笑った。 「どうしたんだ、それ」 女の子は嬉しくて嬉しくて仕方ないといった感じにニコニコと笑い、とたとたと歩いて少年に近づいた。 「あのね、あのね。とうさまがくれたの。かわいいでしょ?」 女の子は両手に抱えたテディ・ベアを少年に突き出した。 「ああ、可愛いな」 少年は女の子の頭をぽんぽんと叩くと笑って言った。 「えへへへ……」 女の子はぬいぐるみを強く抱いた。そして、少年の顔を見る。 「……でね。にいさまになまえ、つけてほしいの」 「名前かぁ……」 女の子の言葉に少年は少し頭を捻ると言った。 「ベルなんて、どうだ?」 「べる?」 「そう、ベル」 女の子はテディ・ベアの顔を自分の方に向けるとニッコリと笑う。 「きょうからきみはベルだよ!」 テディ・ベア――ベル――に向かって言った。 その日の夜、女の子はベルと一緒にすやすやと眠りました。 少年と男と女はそれを見て、幸せそうに笑っていました。 ――――これはある家庭の幸せな日常の1コマ―――― 〜Fin〜 |